グローバリズムの転換点

英国のEU離脱に続き米国のトランプ勝利が続き、それはポピュリズムの勝利でこれは悪しき民主主義の結果という論評が多い。
そもそも英国のEU離脱やトランプ勝利が悪いかどうかは別にして、民主主義の多数決によって決定する方法は方法論であってそこには何ら価値や善悪や正義の話は出てこない。
勿論議論を尽くした後に多数決で決定する訳で、「議論を尽す」なかに価値や善悪や正義の話が出てくるのだが、価値や善悪や正義の話は十人十色でありかつレベル差が甚だしい。
自分の損得や好みで判断する人が多数ならばそういう結論になってしまう。
昔から言われているように民主主義は衆愚政治と隣り合わせなのだ。
従って2つのケースではともかくルールにのっとった選挙の結果であると冷静受け止めるべきだろう。

そう考えると世界で起こっている価値観の変動が見えてくる。
それはここ数10年にわたりグローバリズムのもとで自由貿易を促進し経済成長を競ってきたその方向性についてこのままでいいのかという疑問ではないかと思われる。

グローバリズムのもとで自由貿易を促進することはひたすら経済効率を追求する世界だ。
グローバリズムのもとで自由貿易や規制緩和を推し進めて人・物・金の移動の自由が極限まで追求されると、それは経済的には世界全体がいわば一つの国家になることになる。
そうなると世界中の消費者は同一条件では最も品質の良いものを最も安価で買うことが出来るようになる。
それは消費者にとっては理想的な状況であるが、消費者はまた生産者として生計を立てている。
物を供給する生産者の立場から見ると同一条件では最も品質の良いものを最も安価で提供できる1社のみが勝者となり残りの他社はすべて敗者となることになる。
大多数の人は生産者としては敗者となるわけで最悪失業して生活の糧を失うことになってしまう。
これは極論だがグローバリズムのもとで自由貿易や規制緩和を推し進める過程でこれに類似したことが起きている。
ユニクロが売り上げを伸ばす中でどれだけの敗者がいたかは容易に想像できるだろう。
社会問題となっている富の偏在や格差拡大は当然の帰結といえるだろう。

人・物・金は経済活動の3要素である。
グローバリズムのもとで自由貿易や規制緩和を推し進めて人・物・金の自由な移動が追求される。
しかし、物・金は自由貿易や規制緩和の動きに沿って自由な移動が推し進められるのだが、人はそうはいかない。
確かに交通手段の格段の発達によって移動時間は大幅に短縮されたが移動と移住は全く違う。
経済活動においての人の役割は特定の地における生産活動だから移住である。
人間は一人一人、両親はもとより、その民族、言語、宗教、歴史を背負った土着性の強い存在なのだ。
経済生産性で各人の経済的な評価は可能であっても、どこに住んで経済活動を行うかは決定的に重要な問題であり、結論として人は物・金のように自由に移動できないし、したくも無いし、無理に移動させてもうまくいかない。
今世界中で富の偏在や格差の拡大の問題が起きているのは、精神的に土着性の強い人に対して、グローバリズムの拡大から無秩序に解き放たれた物・金との不均衡によるものと考えられる。
物・金に対して人が足りないところに人が移住して働けば経済的には合理的だが、元々その地で働いていた人から見れば安価な労働者の流入によって賃金が下がってしまうし、ましてやテロリストが入ってくる可能性があれば拒否したくもなるだろう。
お金の事を除いても民族、言語、宗教、歴史が異なる人々が共生することは人が精神を持った生き物である以上様々な困難を生じる可能性がある。
アメリカ人はアメリカに居住して生計を立てたいのだから、トランプの言うアメリカに雇用を戻すという考えはある意味時宜を得た政策なのだ。

英国のEUを離脱して移民や難民の流入に制限をかける動きやアメリカのトランプを選択して保護主義的な動きは、グローバリズムのもとで自由貿易を推進しそれと共に本来民族、言語、宗教、歴史を背負った土着性の強い人にも自由、平等、博愛といった理念のもとで移住してもうまくやって行けるはずだという方向性に待ったをかける動きだろう。
経済成長は資本主義世界においては至上命題である。
その方向性を変えずにグローバリズム経済の中でその中に生きる人間の気持ちとどう折り合いをつけるか、解答はどこにあるか分からないが世界の潮流の転換点として確認したのが現状だと思う。

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